NPO夏花(なつぱな)は、白保村ゆらてぃく憲章の七箇条に基づき、白保集落の伝統文化、自然環境の保全・継承、地域の活性化などの村づくりに取り組むことを目的に、2013年5月に設立されたNPOです。

石垣島 白保地図私たちの暮らす石垣市字白保は、沖縄本島より南西におよそ450km、八重山諸島の主島である石垣島の南東部、広く太平洋を臨む場所に位置しています。白保の歴史は古く、史実によると慶長検地(1610年)にさかのぼります。1771年(明和八年)の大津波では、大きな被害を受けました。波照間島や沖縄本島、宮古島、多良間島などからの移住者を迎え、ともに村を支え現在に至っています。

白保は、昔ながらの農村集落で、現在も農業・畜産業が盛んな地域です。芸能活動の活発な村としても知られており、一年間の五穀豊穣を神に感謝し、翌年の豊作を願う「豊年祭」、航海安全・豊漁を願う「ハーリー祭」、稲の苗が無事に田んぼに定植するようにと願う「種子取祭」など、年間を通し多くの祭祀儀礼が今も色濃く残っています。祖先から受け継いだ伝統行事を後世に大切に受け継ぐと共に、石垣、福木、赤瓦の伝統的な集落景観をとどめる集落です。集落のすぐ目の前には、世界最大級のアオサンゴ群集で知られるサンゴ礁の海が広がり、“サンゴ礁文化”と呼ばれる豊かな自然と密接に関わった暮らしの文化を受け継いでいます。

沖縄県石垣市白保

1979年に発表された新石垣空港建設計画では、村を二分する悲しい時代もありましたが、1995年には一つにまとまり、村の団結に向けて、村の自治組織である公民館が活動を進めています。しかし、2013年の新石垣空港の開港を控え、大きな変化の波が押し寄せようとしています。大規模な開発や新住民の増加は地域に新たな活力をもたらします。その反面、急激な増加により地縁・血縁の絆の深いコミュニティの団結力の希薄化が懸念されるとともに、伝統文化の継承、自然環境の保全や暮らし向きの向上もまた大きな課題となっています。

白保ではこうした状況に対応するため、様々な村づくり活動に取り組んできました。2005年にはサンゴ礁の保全とその持続的な利用による地域の活性化を目的とする「白保魚湧く海保全協議会」や伝統的な自然の恵みを利用する知恵を受け継ぎ地域特産品の販売を促進する「白保日曜市」がスタートしました。また、2006年には白保公民館により村づくりの目標と方針、具体的な施策をとりまとめた「白保村ゆらてぃく憲章」を制定しています。憲章に基づく村づくりは高く評価され、2008年度沖縄県離島振興協議会「島おこし奨励賞」、2009年度「沖縄県優良自治公民館等表彰」や2011年度沖縄県「沖縄ふるさと百選(集落部門)」認定を受けています。

NPO夏花は、“白保村ゆらてぃく憲章”に位置づけられた村づくり七箇条に基づき、石垣島白保集落において地域の伝統文化、自然環境、地場産業や人材など地域固有の資源の保全とツーリズムなど持続的な活用に取り組み、石垣島白保を訪れる人々や八重山の人々に島の文化や自然の素晴らしさを再認識してもらうことで、その保全・継承を図り、地域の活性化に寄与することを目的とします。
また、第一次産業の活性化や六次産業化への取り組みを通し、交流事業などの事業性を持った活動を行うことで、その収益を地域の景観保全や伝統文化の継承、自然環境の保全に還元します。

 



白保村ゆらてぃく憲章

(1)村づくりの目標
与那岡から見渡す田園風景、魚湧く海、赤瓦、福木、石垣の残る集落その中で受け継がれる伝統芸能、白保村の先輩たちが守り伝えてきた豊かな自然とともにある暮らしを守り、若者たちが夢と誇りを持って次世代を担うことのできる、“海と緑と心をはぐくむ、おおらかな白保”を目標としたゆらてぃく白保村づくりを推進します。

(2)白保村づくり七箇条
一、白保の文化を守り、未来につなげます
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります