NPO夏花では年に4回、白保サンゴ礁海域の30地点において、海底の赤土堆積量をSPSS法と言われる手法で測定しています。30地点の中でも、川の河口付近やアオサンゴ群集ポイントなど特に着目すべき測定地点のこれまでの結果を以下のグラフにて報告いたします。
※グラフの数値は年4回調査の平均値(幾何平均)


地点 E
(轟川河口付近)

E地点 堆積量の推移
この地点は、「轟川」と言う白保地区で一番大きな川があるポイントです。雨が降った際に畑などから流れ出た赤土が、この川を通して白保海域へと流出します。調査対象30地点のうち、この地点Eの河口部(E-1)における赤土堆積量の平均数値が一番高く、今ではサンゴ被度が低い場所となっています。上記グラフでは、河口部(E-1)とリーフエッジに近い沖合のポイント(E-3)の赤土堆積量に大きな差があり、いかに多くの赤土が轟川から流れ出て、河口部に堆積しているかが分かります。



地点 A
(アオサンゴ群集付近)

A地点 堆積量の推移
この地点は、白保で最も有名なサンゴと言える「アオサンゴ」の群集地付近です。前記のE地点とは違い、サンゴに影響が出始めると言われる数値(30kg/m3)の赤土堆積量はあまり確認されない地点です。グラフをご覧いただくと分かるように、明らかな人為的影響と言われる数値(50kg/m3)を超えたことは調査開始時の2000年から現在まで一度もありません。



地点 X
(集落東)

X地点 堆積量の推移

この地点は白保集落のほぼ中間地点にあり、上記グラフでも数値がほぼ横ばいのように、赤土の影響があまり見られないポイントです。この地点の東隣に「ワタンジ」と呼ばれる潮間帯(高潮時には海中に没しているが低潮時には潮が干上がり陸地になる部分)があり、それによって轟川(北側にある地点E付近)、また隣の集落にある宮良川からの赤土がせきとめられていると考えられています。

 


※この調査は、WWFジャパンが2000年より地域ボランティアと協力しながら実施してきたものを、2014年からはNPO夏花が引き継ぎ、白保魚湧く海保全協議会と連携して実施しています。NPO夏花では赤土堆積量調査の指導や研修受け入れなども行っています。興味がある方は夏花事務局までご連絡ください。

【協力】総合地球環境学研究所 地域環境知形成による新たなコモンズの創生と持続可能な管理