厳しい暑さが続いた2022年の石垣島の夏。海水温が高い日が続き、白保でもサンゴの白化現象が起こりました。

7〜8月の水温30℃超え 1000時間以上

サンゴに適した水温は25〜28℃と言われています。白保海域に設置している水温記録を見てみると、今年最初に30℃を記録したのは5月30日の30.1℃で、6月も30℃を超える日が多く、8月11日には最高値33.2℃を記録。水温が30℃を超えた時間は、7月が387h、8月は625.5hで、合計1012.5hにも達してたことがわかりました。2007年にも大規模な白化現象がおこりましたが、その2倍に近い時間数です。

白化はサンゴが強いストレスを受けると生じる現象で、色が白くなって弱った状態です。海水温が下がるなどの要因により回復するサンゴもいますが、ストレスが続くと死に至る原因となります。
 

更に、大雨

台風により海水温は下がりますが、今年、台風が石垣島に接近したのは9月に入ってからでした。2つの台風の通過後にサンゴの色が戻るなどの回復傾向が期待される中、10月、洪水警報が出される大雨がサンゴを襲いました。
 

 
大雨による真水の流入や海が赤く染まる赤土等はサンゴに更なるストレスを与えます。10月31日には、1日の降雨量は175mm、11月1日には 177mm※を記録し、「通常なら赤土が流れてこない場所まで広がっているが、大丈夫か?」など、心配の声が寄せられました。
※降水量データ:気象庁HP(観測地点 盛山)
 

白保礁池 サンゴ白化現象

 
今年の白保のサンゴの様子を白保魚湧く海保全協議会のみなさんに伺いました。

「7月から水温が高く、サンゴへの影響がで始めるのが、例年よりも1ヵ月ほど早く感じられた」

「7月末頃から白化するサンゴが目立ち、特に枝状の小さなサンゴに多く見られ、ハマサンゴにも白化が見られた」

「8月にアオサンゴの幼生を観察した際、アオサンゴ群集の色が若干薄く感じた」

「第1ポールのアオサンゴの南側で、2016年の白化から5年かけて回復したエリアがあった。色鮮やかなエダサンゴのほか、テーブルサンゴやコモンサンゴも成長していたが、現在(11月上旬)も白化が目立っている」

「ハマサンゴの白化がひどかった2016年ほどの状態には感じなかった」

「幅10センチ程の小さなハマサンゴが多数いるが、白化は見られなかった」

「水温計を設置している場所は、水深が2m程の場所。浅瀬ではもっと高温だったはず。日差しの強い干潮時なら40℃近い場所もあるのでは? タコを見かけなくなった。水温と関係あるのか?」

「2016年の白化に耐えた幅 1m程のテーブルサンゴは、白化後、藻がつき始めてしまった」

「2016年の白化で死んだサンゴの上に、元気に生きているサンゴもがいる。色が濃くなった。今年の白化で藻に覆われてしまったサンゴもいるが、これなら復活するだろうという場所もある」

よくぞ耐えた!11月のサンゴたち


サンゴをはじめとした様々な生きものが棲む白保の海。白保のサンゴはこれまでも、1998、2007、2016年と大きな白化現象に見舞われています。2016年の白化からの回復が早く感じられたエリアもありましたが、安堵していては厳しい時代なのかもしれません。

地球全体では、温暖化を抑制する待った無しの取り組みと、その実効性が叫ばれています。私たちは地域的なストレスを減らす地道な環境活動に、今一度、気を引き締めて取り組んでいきます。

写真:白保魚湧く海保全協議会
2007年水温データ:WWFジャパン

Written by NPO夏花