先人方の英知と苦労を知り次世代に語り継いでいく目的で公民館が指定した57ヶ所の白保村指定文化財。
周知を図ることで、村人や白保を訪れる人々がともに協力し、大切に後世に守り継がれることを期待しています。

 

白保公民館指定文化財 金嶺家白保村の歴史は古く、史実によると慶長検地(1610年)にさかのぼります。1771年(明和八年)の大津波では、大きな被害を受け、当時いた村人1574人の中からの生存者は僅か28人と言われています。その後、村は波照間島や沖縄本島、宮古島、多良間島などからの移住者を迎え、サンゴ礁の海の恵みを上手に利用し、共に支え合い現在に至っています。

白保村の中には、昔ながらの木造赤瓦の屋敷やサンゴが積み上げられた石垣、福木の屋敷林が多く残っており、かつて沖縄のあちらこちらで見られた素朴な村の風景を今も目にすることのできます。2006年白保魚湧く湧く海保全協議会では、WWFジャパンや白保小学校、白保中学校と協力して伝統的な定置漁具「海垣」の復元を行っています。半農半漁の暮らしを伝えるこの貴重な文化遺産は、毎年子どもたちの体験漁の場として使用されています。2008年~2013年に、村人のゆいまーる(相互扶助)によって、ブロック塀がサンゴの石垣に積み直される運動もありました。また白保村ゆらてぃく憲章推進委員会では、2007年から2008年まで白保の歴史文化について学ぶ白保学講座を開講した際に、先人方の英知と苦労を知り、それを次世代に語り継いでいく目的で「白保村文化財リスト」を取りまとめ、文化財指定するよう提言しました。村の自治組織である公民館は、これを受けて2009年の定期総会において57の無形・有形の文化財を「白保公民館指定文化財」に指定し更なる保全・継承に乗り出しています。
2015年、NPO夏花では、白保公民館指定文化財である史跡や建築物、自然景観についてもっと多く方に知ってもらうことで、保全への機運を高め、後世に守り残していくために白保公民館指定文化財の標識を作成し、設置しました。今まで集落内でも文化財を何気なく見過ごしていた子どもたちの目にもきっと物珍しく映り、文化財に対する関心が高まることが期待されます。

 

また、島外から白保村を訪れる方々にも白保の歴史や文化について理解を深めてもらうために「白保公民館指定文化財ガイドブック」を作成しました。ガイドブックは文化財一つ一つの写真や解説つきで、白保の歴史文化が分かりやすい形で紹介されています。文化財に対して集落内には様々な見解や伝承があり、2015年時点で取材、編集を行ったこのガイドブックは未だ研究段階のものとも言えます。しかし、このような資料は今までになく、このガイドブックが、今後の更なる研究の礎になることが期待されています。
ガイドブックは販売用ではありませんが、NPO夏花の実施する集落散策ツアーにおいてツアー客の方にお配りしています。NPO夏花では、村の宝である文化財の周知を図ることで、村人や白保を訪れる人々がともに協力し、大切に後世に守り継がれることを期待しています。